七夜一族に暗殺技法よりも古く伝わる純粋たる魔を滅ぼすための剣術。
元々、七夜は太古は純粋な魔を相手にする事が多かった為、暗殺よりも純粋な力を欲した者と見られる。
しかし、時が流れ徐々に混血が魔の主流となると、霊力の保有量などで使用者を著しく選ぶ退魔剣術は廃れ暗殺技法に主流が移った。
技の種類は殆どが暗殺技法の原型と言われ、中には暗殺技法に無い技もあるとされている。
剣術と呼ばれるだけあり、技の速さを追求した『抜刀流』と、手数の多さを強みとする『二刀流』の二流派に分かれる。
翡翠は『抜刀流』、琥珀は『二刀流』を皆伝し、真姫から正式な当代継承者として認められている。
居閃四技・二閃四技・・・
抜刀流及び二刀流の奥義の通称。
それぞれ七技の内三つずつの原型と、霊力を利用した技を納めている。
〔居閃四技〕
居閃・雹・・・
閃鞘・八穿の原型。
八穿の場合は空中から下へ斬りつけるが、雹の場合はその名の通り、自ら落下し、重力をも利用しての抜刀で敵を両断する。
居閃・白夜・・・
閃鞘・伏竜の原型。
伏竜が足元まで忍び寄り全身のばねを使い切り上げるのに対して白夜は長刀の遠心力を使い威力を補っている。
居閃・八点斬・・・
閃鞘・八点衝の原型。
基本は八点衝とほぼ同じで、斬撃を乱れ飛ばす。
これは八点斬が極めて高い完成度を誇っていた事を示す。
居閃・烏羽・・・
居閃四技の最高奥義。
霊力を納刀した刀に込め、抜刀と共にその霊力を飛ばす大技。
その霊力は刃となり遠距離の敵を両断する。
〔二閃四技〕
二閃・疾風・・・
閃鞘・七夜の原型。
七夜と同じく高速で突っ込むが、霊力を放出する事で速度を増している為、速度が速い上、意思で自由に方向転換すら出来る。
二閃・戯風・・・
閃鞘・双狼の原型。
原型の中には難易度があまりにも高すぎて、技を改良したと言うよりも汎用性の高い技にまで質を落とした技もある。
それがこの戯風であり、左右所か、風の如く縦横無尽に駆け回り敵を切り刻む。
二閃・五輪・・・
閃鞘・十星の原型。
十星の場合は一つの得物で十の急所を穿ったが、五輪はそれぞれ五つの急所を貫く。
これにより一人に対する殺傷力は落ちたが、複数に対する戦術として近接戦の多い『二刀流』では重要性は高い。
二閃・鎌鼬・・・
二閃四技の最高奥義。
刀に霊力を込めて切り裂くのは烏羽と同じであるが、こちらの場合標的に敢えて隣接することで一人をばらばらに切り裂く。
またその霊力の刃を複数に向けることも可能であり敵に囲まれた時には攻防一体の技ともなる。
閃走・六魚・・・
閃走・六兎の原型。
六兎は標的を一撃で仕留める為に、六発の蹴りを叩き込む事で一発の威力を補っているが、六魚の場合霊力を足に込める事で一撃の威力を高め腹部の後、頭部に踵を落とす。
本気で打ち込めば人間の腹部や頭部など簡単に潰される。
極死・影蝕・・・
志貴の母、七夜真姫が暗殺者として現役時に独力で編み出した技。
本来この技は七夜退魔剣術最高奥義の原型であったが真姫がそれを更に昇華させた。
人間として出せる限りの速さをもって敵の視界から己の姿を完全に喪失させ、ばらばらに切り裂く。
それはあたかも影が肉体を蝕み食い尽くすかのように・・・
本文中では真姫は志貴の傷ついた姿を眼にした為、激怒した真姫は、ばらばらに飽き足らず、粉砕し尽くした。